INTERVIEW  with Shutoku Mukai (from NUMBER GIRL)
   
  インタヴュー・構成:アマタツ

 

 

今日はナンバーガールの魅力を探るべく色々お話を伺えたらと思ってます。ライブで、フォークギターの付属品って思っていた「カポ」が向井さんのギターに付いているのを見て。これまでルーツミュージックとして雑誌などに挙げているもの(SONIC YOUTH、TELEVISIONなど)の他に、その音からは想像できない色んなアーティストがいるんじゃないのかなぁとか考えていたんです。
いつも「どんな音楽を聴いてきたの」っていう質問が絶対あるから何個かバンド名を挙げたりするんやけど、実際それだけやないよねェ。いっぱいある。でもそれはキリないけぇ、それでいつもはそんなに話さんのやけど。

たはは、そうですよね。

いやいや、ま、とりあえずいっぱいあるが。…えー、音楽的な深みはあるね、俺は。なんでも聴いとるから、それに何でも好きやから。
中学生ごろに主流だった音楽は気に入らなかったけれど、そのもう少し後に出てきた音楽は自分の感性に合うところがあったっていうお話を聞いているのですが。
その時期はメインストリームのやつしか聴く力がなかったというか、アンダーグラウンドにいるかっこいいインディーバンドはいっぱいおったんやろうけどそれを探す力もなかったし、そういうことがあるっていうことも知らんやったけん、メインストリームにあるもんしか耳に入ってこん。それがしっくりこんやって、聴いてなかったん。
そのメインストリームがしっくりこなかった時期はどんなのを聴いていたんですか?
古いロック。よくロック名盤とかあるじゃん、ああいうのを見て60年代とか70年代とかのジャイアント・ロック。昔の巨人達。で、好きやったのがね、The Who。ちゅうかね、そこの「名盤なんとか」とかに載っとーヤツは大体聴いたし好きやったんや。あとね、黒人音楽がすごい好きで。ラップが好きなの、ヒップホップが。まだ小学生やった頃、うちの兄貴がプリンスをすごい好きで、異常に聴きまくるんよ。多分その頃の兄貴はそれしかなかったんやろけどね(笑)。プリンスが出てきてうちの兄貴の音楽篇歴は決定されたんやろね、もう「これでいい」みたいな。…ってゆったしね、「お前もこれだけでいいぞ」みたいな、「ほかの分けわからんもん聴くな」ちゅー風なことも言われよったよーな気もする。
プリンスっていろんなところからエッセンスを吸収して、しかも自分のルーツ= 黒人っていうのもあるアーティストじゃないですか。メインストリームの現代へ還っていく道筋がプリンスっていうのはすごいですよね。
しかもプリンスの演ってることがそういうことだってわかるわけないんよね、俺まだ子供やったし。気持ち悪い、アンド変な音楽だっていう感じだけしてて。でもある時期、小学校6年生から中1くらいになると「この音楽はMTVとかヒットチャートに入ってる他の音楽とは別の次元の音楽なのかな」「やっぱこれはすごい音楽なんやな」って気づいた時から本腰入れて聴くようになったよネ。ヒップホップではPUBLIC ENEMYがすごい好きでね、ブレイクビーツのトゲトゲしい感じがすっごいかっこいいなって思った。その頃のメインストリームのロックとか、コレにくらべたらかっこよくないな、こっちのがロックだなーと思ってた。
PUBLIC ENEMYとかアンチ白人主義の過激な発言をしたりという部分で注目されたり、音と離れた部分で評価されているところがあると思うんです。で、わたしがナンバーガールに感じたのは…、「それ」の無さ。
あ、それの無さね、うー(笑)付加価値がないと。
でもそれは詞を読むまでで。
あぁ、詞の世界ね。
そう!「なんであの音にこの詞が乗るんだ?!」っていうところで衝撃を受ける。
(笑)、うん、それはよく言われる、最初に見た時、なんで?っていう疑問符が多いと。「なんでこの人が?」とかさ。
そう、こちらを混乱に招くような!
それは全くもってやろうとしてやっとらっちゃーないってね、普通に自然にやってみんなが疑問に思うだけで。まっとーにやっとるつもりなんですよ(笑)
向井さんの詞って自分の心情吐露というよりは、自分が居る風景の風景画みたいじゃないですか。その素材探しから詞になるまでもちょっと伺いたいのですが。日記とかは?
なし!日記はないね、そういうのは。歌詞に関してやろ、その風景画みたいっていうのは自分でもあるね。自分でも客観的に「自分が書いてる詞ってどういうもんかな?」って考えた場合、遠巻きに町の中の風景を見てる自分がいると。自分は遠巻きに見とるんよ。で、その映像を詞にしてるんかなとか思ったりするときはある。
それはフッと後からついてくるものなんですか?
うん。
出来上がってみたら客観的だった?

うん、それをしようと思ってやっとるわけではないというのはまず根本的にあるね。

曲も書けるし、楽器もできて、詞を書いているのも向井さんだったらば、私の発想では"宅録派"とか"弾き語り"とかになってもいいんじゃないかと思ったんですが、そこを敢えて"バンドを編成する"っていう意義は。
意義ねぇ。それは「バンドサウンドが好きだから」っていうところがありますなぁ。
ナンバーガールを始めるにあたって、こういうバンドを組みたいって思って、向井さんが声を掛けていかれたんですよね。ナンバーガールは一人一人の演奏能力がすごく高いバンドではないかと。何か、誰かが補うとかそういう関係じゃなくて、一個ずつのパートがある、でもアンサンブルとして聴いて素晴らしいと思うんです。
あ〜、それは嬉しいねぇ〜!俺が好きなバンドでTELEVISIONつーのがあって、あのバンドなんつーのも聴いた瞬間に一人一人の創る4つのサウンドが重なりあって一つになってるというふうに思えるわけ。で、そういうバンドが好きやし、そうなりたいと思いますワ、ハイ。
メンバー一人一人のプレイヤーとしての魅力をフロントマンの立場から解説していただけますか?
まず、Dr.のアヒト・イナザワ。あの人は自分でイベントやってるころに他のバンドのドラマーとして見てたんだけど、その頃から(演奏に)シビれたし。たぶん見た人はすぐわかるやろうけども、あの人はキース・ムーン(The Who)とかThe Jimi Hendrix Experienceにおったミッチー・ミッチェルとかのようにビートを叩きながらその隙間隙間にバカスカ感を入れまくるというドラムスタイルの人が好きなんや。無闇やたらにバカスカバカスカ叩きまくるし、シンバルを多用するね。シャンシャンシャンと。あのクラッシュする感じがすごいかっこいいと思うの。アヒトくんを初めて見た時それでグッときて、このドラムサウンドと一緒に演りたいなと思ったんや。で、B.ね。中尾憲太郎24才ね。あの人はほんとに直線的なベース。それに尽きると思うね。ベースっていうのはベースっていうぐらいやからコードのベースの音をやってほしい。コード感を外すようなことをするよりはコードをそのまま弾くほうがいいと思う、それの上にギターが乗っかるわけだから。ギターが不協和音を鳴らしてもベースはコード感を大切にしてもらっておかな、全てがなんかわけわからんくなるから。その意味では直線ベースが支えてますね。アヒトくんのドラムは低音の部分を出すというよりはスネアサウンドというか、金属的な音を重視するほうだから、うちのバンドの実質一番低音の部分を出してるのは中尾憲太郎なんやろ。で、田淵ひさ子ちゃんは基本的に俺の曲の"コードをジャカジャカギター"の上に被さってきてメロディアスなフレーズを歌と同期させてやってもらったりするんやけど。すごいクール。ギターロボットになってるね(笑)。
向井さんが弾いているのは割と高音域のシャカシャカした音が多いですよね。
そう、あのキラキラ感というか…ギターサウンドではそれを一番大事にしてるっていうか、それが好きです。まあ見た目は俺のこの苦学生のようなメガネの風体にも目がいくのやろうけども(笑)。田淵ひさ子ちゃんの「ちっちゃい女の子がいる、でもバゴーーンて弾く」と、それも一つの「?」が多分出てくるだろうと思う。
ステージアクションがみんなかっこよくて、目が離せないんですよ
それは嬉しいね。アヒトくんもバシャバシャやるから動きがあるしね。それからあの人、時々バシャバシャやったあとに笑うね(笑)
 
今度、福岡でアルバム録ってきましたけどもね、10曲。これが、自分で言うのもなんやけどおもろいねー。これは誰かに聴かせしたいっていう気持ちはあるけどね、夏に出る(笑)
ライブではその新曲って披露してるんですか?
いや、ほとんどしてない。

どんな仕上がりなんですか?

いや、おもろい(笑)自分で作ってるもんで、客観的には見れんけど。
「SCHOOL GIRL BYE BYE」と雰囲気は違いますか?
いや、違わないと思うけど、同じスタジオで同じレコーディングの仕方(一発録り)したし。全部録音は俺がやるしね。サウンド作りが好きなんやね、ドラムの音作りとか。サウンド的には「SCHOOL GIRL BYE BYE」と変わらんと思うのね。メジャー的な音作りとかではないし。
CDで聴いたのとライブで聴くのとでは全然音が違いますよね。
うん、ライブのほうが全然迫力があると思う。
ライブに近い音作りというか、例えばSonic Youthの“100%”(『dirty』」に収録)みたいな音が間近に感じられるように録ろうとは思ったことは?
『dirty』はすごいメジャーの音作りしてるっていうか全部しっかり録ってるアルバムだと思う。俺はスタジオのその部屋で鳴ってる感じが好きやから、部屋鳴り感みたいのを録ってるのね。遠くで鳴ってるように聴こえるほうが好きなの。遠くっちゅーか部屋で鳴ってる感じ。
向井さんの歌い方ですけど、「SCHOOL GIRL BYE BYE」の頃と今では大分違ってきてますね、
うん、それはヴォーカリゼイションの発達やと思う。昔は叫ぼうと思っても叫べんかった、ヘナヘナになっとったけど、今はガーーッと叫んでもいける感じに演っとるうちに歌い方を体得していったと思う。
「SCHOOL GIRL BYE BYE」の"我起立唯我一人"の叫ぶところなんかは「フランク・ブラック唱法」というか、なんというか、Pixiesを彷佛させますね。
うん、俺ね、ブラック・フランシス(現フランク・ブラック)の歌い方ってすごくクールやと思うの。メロディアスだけど突如として気狂いじみて叫び出すところとか、アレすごいかっこいいんよね。
向井さんのやってるやり方でどこまでナンバーガールの輪が広がるか、楽しみですね。
楽しみやね、俺も。聴かせたいっていうのがあるからやってるわけでね。これが別に聴いてもらわんでもいいと思ってたら福岡の小さいところでやるんやろうけど。東京まで出てきてやってるってことはバンドを世に広めたいっていう、それでやってるんやろうけどもね。

…ずるさのないところも好きなんです。

ずるさ?(笑)
その、あんまり色んな音楽を聴いてないとか洋楽を聴いてないっていう子ならだませるっていうのはあると思うんですよ、音楽を作っていく上で。
あーーー、だましね。女子供をだましてやるっていうのは、どのバンドっていうんじゃなくてやり方としてあると思うのね。メジャー会社とかのやり方で、あるね、そういうのって。
制作側の思いっていうのもあるでしょうけど、オリジナリティの追求というところに目が向かないで「〜のコピーをもっとうまくやる」っていう…ある程度音楽をちゃんと聴いている人にしてみれば、それはすごくつまんない。
俺も死んでも金出して買おうとは思わんね。

どっかで既に誰かが演っていることを使って、それを聴いてない人を引き込んで、っていうのが私には狡く思えるんですよ。「それは一つの手段だからだまされる方も悪い」っていう意見もあるんですけど。

いや、それはやる方が悪いよ。それで人から金を巻き上げるとかさ、犯罪やで。そういうことをやってる奴が例えば「コピーコピーと言われるが、それだったらお前、やってみろよ、できねーだろ」って、それ、お前、逆ギレやで。
(爆笑)
それをね、俺の前でぬかしやがると一発でこぶしが飛ぶよ。